2005年05月25日

中原中也詩集

amazon
中原中也詩集
中原 中也 (大岡 昇平 編)

岩波書店 1981-01
¥840 (税込)


中原を理解することは私を理解することだ、と編者はいう。こうして飽くなき詩人への追求が三十余年にわたって続く。ここにその成果を総決算すべく、中也自選の『山羊の歌』『在りし日の歌』の全篇と、未刊詩篇から六十余篇を選んで一書を編集した。読者はさまざまな詩に出会い、その底にある生の悲しみに心うたれるに違いない。
「目次」――山羊の歌(初期詩篇;少年時 ほか)/在りし日の歌(在りし日の歌;永訣の秋)/末黒野(温泉集)/未刊詩篇(初期短歌;未刊詩篇)


4003109716
文庫/学術・教養/岩波文庫

line

 ■月夜の浜辺

 月夜の晩に、ボタンが一つ
 波打際に、落ちてゐた。

 それを拾つて、役立てようと
 僕は思つたわけでもないが
 なぜだかそれを捨てるに忍びず
 僕はそれを、袂に入れた。

 月夜の晩に、ボタンが一つ
 波打際に、落ちてゐた。

 それを拾って役立てようと
 僕は思つたわけでもないが
    月に向かつてそれは抛れず
    波に向かつてそれは抛れず
 僕はそれを、袂に入れた。

 月夜の晩に、拾つたボタンは
 指先に沁み、心に沁みた。

 月夜の晩に、拾つたボタンは
 どうしてそれが、捨てられようか?

line

中原中也の友人あて書簡発見「さびしい」と心境つづる
posted by sizuku at 02:32| Comment(0) | TrackBack(0) | 文庫 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/3903595

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。